
アメリカから帰国してハローワークで職探しをしていた20代半ば。
ふと目に留まった中学校生徒指導員募集の求人。
しかも教員免許なくてもOK。
こんな経験滅多にできない!と自分の五感がザワついたのを覚えています。
とりあえず問い合わせ
「ダメもとで良いので」
ハローワークの職員さんに連絡して頂くと、直ぐに面接となりました。
面接先は県の教育委員会。
出向くと担当者の方が一言。
「ここで面接して合格しても、いざ現場の中学校へ行くと皆さん辞退されるので、直接中学校の校長と面接してください。」
なるほど。
要するにヤンキーにビビッて辞めていくのですね。
腕が鳴ります(笑)

現場の中学校
と言うことで向かった先は現場の中学校。
校門を抜けると、左手に見える保健室のテラスで早速ヤンキーのお出迎え(笑)
テラスで寝そべってまったりしてるヤンキー達に話しかけてみることに。
「職員室は何階?」
「2階!おめー先生?」
「いや、お客さん。ありがと!」
「おぉ!」
中学一年生のヤンキー三人。
まだあどけない顔してボンタンに短ラン。
格好はいっちょ前です(笑)
2階の職員室に向かい、校長先生と教頭先生にご挨拶。
早速面接です。
面接
物静かな校長先生と体育会系の教頭先生。
予め履歴書に目を通していた教頭先生から一言。
「早速だけど、履歴書を見る限りでは転職回数が多いようだけど理由は?」
僕はその都度会社を辞めた理由をテンポよく答えました。
教頭先生は続けてこう仰いました。
「今まで面接に合格した人の中には、家電量販店で店長をされてた方や、教員免許を持った方もいましたが、皆うちの中学校に来たら辞退されました。あなたはこの学校に来てみてどうでしたか?」
僕は「ヤンキーの子達を相手にするのは好きです。早速保健室前で一年生のヤンキー達と話をしました。是非ここで働いてみたいです。」
アメリカに行っていた事にも興味を持ってもらい、教頭先生が一言。
「聞いたことの返答のテンポも良いし、アメリカにスケートボードをやりに行ってたことなんかも生徒に話してくれたら、彼らの為にもなるからうちの中学校としては是非来てもらいたい」
教頭先生が校長先生に「校長先生も問題ないですよね?」と聞くと、校長先生は深くうなずいてくださいました。
即決です。
明日からでも来て欲しいとまで言っていただました。
それだけ問題は深刻なのでしょう。

初出勤
出勤初日。
職員室で先生方に挨拶を済ませ、教頭先生と生徒指導の先生にこの中学のヤンキー情報を教えて頂きました。
早速三年生の番長T君にご挨拶。
「T、今日からこの中学校に来たイッサンっていう先生じゃけん、よろしくな!」
「ほんまぁ!よろしく!俺らの面倒見る為にきたんじゃろ?イッサンって昔ヤンキーじゃったろ?だって雰囲気が先輩に似とるもん」
するどいT君(笑)
そりゃロン毛に茶髪だしね。
「そんなことないない!(笑)とりあえずよろしくな」
「分かった!とりあえず皆集めるは!」
と言って、ヤンキーの男女総勢15名を僕の前に招集し、皆に自己紹介してくれました(笑)
「この先生、今日から俺らの面倒見てくれるイッサンじゃけん。おめーら変な事するなよ!」
何だか早速番長のT君と仲良くなりました。
そのグループの頭を押さえるのは鉄則ですね。

生徒に向けて校内のテレビ放送で挨拶しました。
「今日からこの中学校で生徒指導を行うイッサン先生です。趣味はスケートボードです。よろしくお願いします!」
ロン毛で茶髪の先生。
生徒にはどう見えてたのでしょうか?
ヤンキーの女子たち
女子も7人くらいヤンキーの子がいました。
茶髪で化粧もして制服も着崩しちゃってる感じで、ギャルのファッション誌に出てくるような感じ。
みんな結構素直で良い子でした。
僕の事は下の名前にちゃん付けで呼んでくれてました(笑)

この子達も今は三十路。
時がたつのは早いものです。
本日はこの辺で。

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